○湿原の生態

高層湿原 ○湿原の植物
 本州で最大の湿原である尾瀬ヶ原の下は,ミズゴケを中心とする泥炭でその厚さは7mもあります。 湿原は大きく低層湿原,中間湿原,高層湿原の三つに分けられます。 低層湿原は,山麓や川の流れに沿った所に見られ,比較的栄養に富み,ヨシやミズバショウが生育しています。 中間湿原は,傾斜地の湿原に見られ,ニッコウキスゲやヌマガヤが群落を作ります。 高層湿原は,泥炭が長年堆積して盛り上がった湿原です。貧栄養のためミズゴケが多く,ナガバノモウセンゴケもみられます。高層湿原には,池塘も点在しています。
(写真右:高層湿原)
 尾瀬は,一年の内半分は雪に閉ざされる寒冷気候なので氷河時代からの北方系の植物が残存しています。高層湿原にはヤチヤナギ・ナガバノモウセンゴケ・ツルコケモモ・ヒメシャクナゲなどが生えています。低層湿原にはミズドクサ・タカネスイバ・ヤナギトラノオ・オオタチツボスミレなどが生えています。池塘の中にはオゼコウホネ・ヒツジグサなどが見られます。 日本固有の植物で多雪地に生えるオニシオガマ・チョウジギク・タテヤマリンドウなども見られます。

○湿原の動物
 尾瀬ヶ原も場所によって環境がちがい,いろいろな動物が住み分けています。1500を越える池塘には,トンボ・トビケラ・ユスリカなどの幼虫,カエル・イモリなどの幼生,アメンボやゲンゴロウ,また,アブラハヤやドジョウなど,水生動物が生息しています。 草地には,ハチ・ハナアブ・チョウ・ヨコバイ・ハムシなどの昆虫,これを食べる動物などがいます。


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